福本琢の好きなもの





山形正宗 (やまがたまさむね)


将棋の町、山形県天童市にあり、屈指の硬水造りの酒だ。切れ味のよさに、銘刀山形正宗とも。蔵元杜氏の水戸部朝信さんは子供の頃から、あだ名は「稲造」。その名の通り、自家田での稲作にも力を入れ農業法人も立ち上げた。減農薬栽培を推し進めている。地元、山形の米主体の酒造りだが、特A地区の山田錦も使う。高品位な純米大吟醸酒などもラインアップ。「銀座の寿司屋を目指しています」。江戸前の魚ばかりでなく、全国各地から一番良い素材を集めて握る銀座の寿司屋のように、全国から最高の米を集めて酒を造っている。 麹室は、地元で神社仏閣に使われる金山杉造り。整然とした美しさ。仕込み蔵は、白漆喰壁に、太い木の梁と柱。タンクと白壁は、ライトアップされ、荘厳な美しさがある。「歌を唄うなら、公民館よりオペラハウスが気持ちよい。うちの仕込み蔵も、オペラハウスで唄うくらい、気持ちよく酒造りができる場にしたいんです」と水戸部さん。気持ちよく作業すれば酒も美味しくなる、好見本の酒である。


福本琢